「わたしを離さないで」

昨日、大学の図書館に行く。
結局、「落日燃ゆ」は読み切れなかった。
その代わり、借りてきたカズオ.イシグロ著「わたしを離さないで」と大西連著「すぐそばにある『貧困』」を一晩で読んでしまう。
「わたしを離さないで」は解説に書いてあるのを抜粋する。
「静かで端正な語り口とともにはじまって、いかにもありそうな人間関係が丹念に語られる中、作品世界の奇怪なありようが次第に見えてくる。」
「わたしを離さないで」はSFなのだろうか?読めば読むほど、不思議で、リアリティは感じられないが、どこかで静かに起こってる気もする話のような。カズオ.イシグロの想像力の凄さに感嘆する。
日の名残り」は読んだことはないが、映画で見た限り、彼の作品は、残酷な描写は出てこないが、結果、ひどく残酷な気がする。
「わたしを離さないで」の臓器提供の為に作られた子供たちの運命。語り手がその提供者であるのだが、クローンで作られた人間であるのに、その子供時代の思い出、青春、なにも普通の人間とは変わらない。
現代の中で進んで行く話。それはそれで、リアルだが、ひどく残酷だった。

もう一冊の「すぐそばにある貧困」の方が、本当は、ひどくリアルで残酷なのだろうが、カズオ.イシグロの筆力の凄さで、霞んでしまった