母のこと

わたくしの母は、今から12年前に亡くなりました。元旦那さんと出会う半年前の事でした。父は、その7年前に亡くなっています。亡くなった原因は、C型肝炎からくる肝臓癌でした。わたくしは、38歳の時、すでに肝硬変に侵された母を置いて一人暮らしを始めました。母は出て行くわたくしに一言『馬鹿ね、家にいれば良いのに』と、さして止める風もなく出してくれました。

それから、一年後、母の病状は急に悪くなり肝癌へ。肝癌になった母は、わたくしに生体肝移植を望みました。母は生きるという事に、とても執着していて、どうしてもと、わたくしに頼んだのです。わたくしも、迷いながら大学病院に話しを聞きに行きました。大学病院のドクターはやる気まんまんでしたが、その頃独身だったわたくしの身体に大きな傷が残るのは、少し躊躇いはありました。

とりあえず、生体肝移植をするという前提で、母は大学病院に入院しました。しかし、日々容態は悪くなるばかりで、肝臓が働かないため、毒素が脳に回り、変なことばかりを口走るようになりました。しかし、その変なことはわたくしを心配する内容ばかりで、ある日は、大学病院から見える大学の校庭を走ってたねとか、もう心配かけちゃダメよとか、そう言ったわたくしに関することばかりでした。

それからひと月あったでしょうか、急変して、最期にわたくしの名前を叫んで絶命しました。

どこかドライで、シャイな母でしたが、本当にわたくしの事を心配してくれていたのだと思います。母の夢をよく見ます。母は生きて、この世の中の移り変わりが見たいとノートに書いてました。

母は生きたかったのです。わたくしも生きねば。今、わたくしの目標は、母の享年を超えることです。